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    Case2 業務改善
     
      管理栄養士・栄養士のみなさんが日ごろの業務のなかで悩んでいることについて、ベテラン管理栄養士からアドバイスをしていただきます。

    若手栄養士が辞めないようにするには、どうすればいいですか?
    私は10年間同じ病院で勤務しています。しかし、勤務が不規則で仕事も忙しいため、辞めていく若い人が多いのです。 どうしたら長く、継続して勤務してもらえるのでしょうか?
     


    入職前に仕事内容を把握してもらい、入職後はやりがいを見出せる環境づくりを!

       病院管理栄養士の仕事は、臨床栄養管理と給食管理です。たとえ、給食管理を全面委託していたとしても、患者さんに適切な栄養供給がなされているか、責任をもって管理しなければなりません。そのうえで臨床栄養管理も行うとなれば、9時から5時までの勤務で終わる仕事ではありません。また、病院は365日、24時間機能していますので、遅番も早番もあり、土・日もお正月休みも交代制になります。このような勤務状況を入職する前にきちんと説明しておく必要があると思います。

       管理栄養士は、患者さんの栄養状態を改善するにはどうすれば良いのかを常に考えなければならず、言われたことだけやっていれば良いという考えでは務まりません。勤務時間が長い厳しさも、勉強し続けていく大変さもあります。精神的にも肉体的にもハードだということを伝え、それだけの心構えをもって仕事をしていく気持ちをもってもらうことが大切になるでしょう。

       辞めてしまう原因は1つではないと思いますが、若い人たちが入職時にこのような状況把握ができていないか、もしくは覚悟ができていないのかもしれません。勤務状況を事前に説明して、入職前と後とで話が違うということがないようにすることが改善策の第一歩になると考えます。

       そして、継続して勤務するには、仕事に楽しみを見出せるかどうかがカギになると思います。したがって、やりがいを感じられる環境をつくることも、上司の務めとなるでしょう。

       新しいことを覚えるのは楽しいはずですし、さらに、患者さんの状態が改善することは、このうえない大きな喜びです。そのメッセージを伝えなければいけません。たとえば伝票整理が少し早く処理できるようになったら、「もう終わったの? 早かったわね」と、一言声をかけて、その成果を評価する、褥瘡が改善して退院する患者さんを一緒に見送るなど、簡単なことで良いと思います。

       また、部下が目標をもてるように、仕事をどんどん任せてみてはいかがでしょうか。私はどんな仕事もなるべく部下に任せるようにしています。報告だけは必ずしてもらうようにし、アドバイスを加えて、より良い結果を得られるようにします。そして、仕事の成果が認められれば、部下の努力の賜物として周囲に報告します。逆に失敗したときには、すべて私が責任をとるようにしています。「怒られるのは自分、褒められるのは部下」、それで良いと考えています。

       さらに、「仕事は断らずに受けるべし」というのが私の方針なので、他部署から何か仕事を頼まれたら、とにかく最初は要望を聞いてくるようにと指導をしています。どんなに仕事が立て込んでいても、どのようにしたら対応できるかを工夫させます。それが仕事の幅を広げることにもなると思うのです。

       この質問をされた方は、若い人が辞めてしまうことにとても心を痛めていらっしゃることでしょう。もし、上司としての振る舞い方に悩んでいるとしたら、他部署のシステムを参考にしてはいかがでしょうか? 私も、栄養管理室長になりたての頃は、他部署に学ぼうと、薬剤部や放射線科、臨床検査部などを訪ねて、先輩管理職に、どのように仕事を分担しているかを聞いて回っていました。まず栄養管理室の先輩がやっていた方法を守り、それができるようになったら改善するためにどうしたら良いかを考え、工夫を加えて徐々に独自の方法に変えていきました。

       神奈川県の病院栄養士協議会では、年に1度宿泊研修を行っていますが、そこには若手栄養士やベテラン栄養士など、年齢や立場を問わずに悩みを抱えた人が集まります。もしご自身でうまく話ができないようであれば、そういう場があるという情報を伝え、出席してみるよう助言するのも1つの方法かもしれません。

    (回答者:梅澤眞由美先生 (財)船員保険会横浜船員保険病院 栄養管理室室長・管理栄養士)