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      管理栄養士・栄養士のみなさんが日ごろの業務のなかで悩んでいることについて、ベテラン管理栄養士からアドバイスをしていただきます。

    どうすれば、精神的に強くなれる?
    管理栄養士の先輩からは「全然できてないじゃない!」と怒られ、ほかの職種からは「こんなこともわからないの!?」 「忙しいから無理」と言われることが多いです。自分のスキルが低いから指摘されるのだと、素直に受け止めようとしていますが、 恐怖心から、疑問があってもなかなか聞けません。もっと打たれ強くなるにはどうしたらよいのでしょうか?(病院管理栄養士)
     


    恐怖心を拭うよう努め、職責を肝に銘ずること
     恐怖心があるということは、自分の知識・能力不足にばかり目が向いてしまい、自信が なくなっているのかもしれません。「こうしなければ」と焦るときは背伸びをしているので す。高いレベルをめざそうとするばかりではなく、できることをもっと伸ばしてアピール ポイントにしようと考え直してみてはいかがでしょうか。また、仕事で落ち込んだ気持ち を回復させるには、仕事で挽回するしかないと思います。管理栄養士として何ができるの か、少し立ち止まって考える機会を得たと、前向きに受け止めてみてください。  あなたと同じ悩みを抱えていた頃、私は食事を介して患者さんに寄り添い、生活背景や 考え方などを細かに把握するようにしました。そうして得た管理栄養士としての情報を、 ほかの職種にも伝えることで、自分が役立っていると実感できたのです。院内に"自分の 居場所"をつくることで自信をつけていったのだと思います。ささいなことでもいいので、 「これだけは誰にも負けない」という自分の特徴をもてば、少しずつ打たれ強くなると思 います。

     管理栄養士として病院に勤務する以上、どんなに経験が浅かろうと、患者さんにとって 一番いいと考えたことは、何度断られてもほかの職種のなかに入り、発言しなければなり ません。主張を押し通そうとするだけではなく、なぜ断られたのか、話を聞いてもらうた めにはどうすればいいのかを、相手の立場に立って考え、さまざまなアプローチでお願い してみてください。

     私も入職間もない頃、栄養管理計画書の変更を聞き入れてもらうため、医師に頼みに行 き、何度も「今、忙しいから」と言われました。その時は、「そうですか...」と引き下がる のですが、一生懸命考えた案なのに、なんで聞いてくれないんだろうと一瞬憤りましたが、 その時に言わなかったことは「患者さん対して受身になった」という思いとして強く残り ました。話が簡潔じゃなかったから断られたのではないだろうかとか、どのタイミングで、 どんな方法なら忙しくても伝えられるかを考え、紙に書いてカルテが入っているファイル にはさんでおき、「お時間があるときに見てください」とだけ書いておきました。そのあと で「あれ読んだよ」とも何も言われませんでしたが、食事せんをチェックすると私の主張 どおりに変わっていたことがあります。

     このような試行錯誤の繰り返しで、自分の仕事が"よい結果を生む管理栄養士の提案" として、ほかの職種にも周知されるようになるのです。ことごとく話を聞いてもらえなか った私ですが、やがて「あの患者さんなんだけど、どうしたらいいかな」と、廊下で医師 から声を掛けられるようになりました。

     誰にも何も言われない環境は恵まれているとは言えません。注意を受けることで自分の 課題が明確になりますし、多職種と信頼関係を築くきっかけにもなります。成長できるチ ャンスと捉えてください。指導する立場から言うと、伸びる見込みのある人には、たくさ んの仕事を経験してほしいので注意したくなるもの。上司や先輩は、自分の言ったことに 対してあなたがどう答えを出すのか、よく見ていると思いますよ。「くよくよ悩むだけの子 だな」と思われるか、「もっと伸びそう」と鍛えてもらえるかはあなた次第です。

    (回答者:松永裕美子さん 医療法人財団明理会鶴川サナトリウム病院 栄養科主任・NSTチーフディレクター)