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    Case2 業務改善
     
     管理栄養士・栄養士のみなさんが日ごろの業務のなかで悩んでいることについて、ベテラン管理栄養士からアドバイスをしていただきます。

    介護スタッフとの連携がうまくできないんですが・・・・・・
    老健施設で、自力経口摂取を進めたい私と、誤嚥を心配する介護スタッフとで意見がぶつかります。うまく連携を図るにはどうしたらいいでしょうか?(老健施設管理栄養士)
     

    利用者さんの基本的情報収集は済んでいると想定したとき、相談者の場合、管理栄養士と介護スタッフが思い描く「利用者にとっての幸せ」にズレが生じていると考えられます。自分がほかのスタッフと同じ方向を向いてケアにあたっているのか確認するために、施設の理念を熟読してみてください。
     相談者の悩みは、利用者さんの希望を叶えようとして、また施設の理念を貫こうとしているために抱いたものかもしれません。介護スタッフにその熱意を一方的にぶつける前に、冷静になって考えてみましょう。多職種協働とは、ほかの職種の立場に立って、それぞれの役割と責務、苦労を想像しながら、管理栄養士ができることを考えていくものだと思います。 食事介助に直接かかわっているのは介護スタッフです。その立場に思いをはせて管理栄養士には何ができるかと考えたとき、「これだったら自立摂取を促しても安心」と思ってもらえる食事の提供だと私は思います。栄養価や食形体、食器の工夫はもちろん、PTやOTに専門的な支援を依頼し、より安全な食事内容が組み立てられて初めて、介護スタッフは相談者の提案に耳を傾けてくれるのではないでしょうか。
     もし、自力での経口摂取に取り組もうということが決定しても、多職種間で共通認識を深める場を設けなければ、方向性にズレが生じることは避けられません。問題把握や今後の方針、役割分担など、最低限必要な項目を共有してください。このとき一番大切なのは、たとえ苦手な相手であろうと、「キーマン」に働きかけをすることです。
     多職種との連携に行き詰まりを感じたとき、私は利用者さんのもとに行ってお話をするようにしています。そうすると、「私は仕事仲間との関係を解決したくてもがいていたんだ。でも、本来の目的は利用者さんをもっと幸せにすることであるはず」と気づき、また頑張ろうと思えるのです。
    (回答者:倉持里津子さん□社会福祉法人馬島福祉会 特別養護老人ホーム恒春園 介護支援専門員・管理栄養士)