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    今月号の特集
    被災地へのメッセージ
    今月号の特集
    震災メッセージ・タイトル
    ◆投稿メッセージのご紹介
     
     
    ・『被災地の栄養士の苦難こそ、今後の栄養士活躍の礎』 島根大学医学部附属病院
    川口 美喜子氏

     このたびの東日本大震災のお見舞いを申し上げます。
     私がこの一報を知ったのは、その日の15時20分に東京で生活している夫から「久しぶりの大震災でしたが大丈夫でした」とメールが入ったことからです。事の重大さを感じテレビを付け、15時26分、東北大学病院栄養管理室長に「大丈夫ですか。今、テレビを見ています」とメールし、電話も繋がりました。「夕食の準備は出来ていて何とかなりそう。地鳴りがして生きてる心地がしない」という言葉を聞きました。その後の映像で愕然としました。大津波が東北大学室長の暮らす宮城県名取市に襲いかかる脅威の映像でした(室長の家は津波の難を逃れたと後に聞きました)。なぜか、2001年9月11日、アメリカ同時多発テロ事件で航空機の激突で炎上するワールドトレードセンターの映像を目にしたときのことが頭を過ぎりました。何万人の人がここで犠牲になり、平穏な生活がストップするのだと悲しくやるせなさが思い起こされました。16時21分に夫から再度「津波は 大阪も大分も何度も来るらしいので高台にいるか、高い建物に非難して」大阪と大分で暮らす子供たちと私を気遣ったメールが入り、日本はどうなっていくのかと恐怖を感じました。その後の新聞やテレビの報道にどれだけ涙が流れたことでしょう。心は落ち着かず、私に出来ることを探していました。ただただ、何かしなくてはと思う気持ちばかりでした。東北大学病院栄養管理室長から3月14日、「生きていられただけでよかったです」と一文のメールが入りました。どれほど気を張り詰め、どれだけ大変な思いをしているのかと思いながら涙が流れました。  さらに、福島原発の事故による大量の放射性物質が外部へ放出されたことによる人の健康や環境への深刻な状況は、島根県原子力発電所からほぼ30km圏内の当院にとっては心が痛み、対応を考えさせられます。
     震災後1ヶ月程のインターネットの情報では、栄養士の被災地への人材支援要請も支援希望も見当たらず、栄養士として何か役に立ちたいと考えながらもスタッフと募金をすることしか思いつきませんでした。栄養士が動き出し、栄養欠乏に強化米を提案したなどの新聞報道や栄養士会から被災地に支援に行った岡山大学病院臨床栄養部の副部長の活動報告を聞きました。栄養士として、支援すべきことの必要性、重要性を強く感じ、栄養士として支援に行けるという思いと職場から支援に行かなければと強い気持ちになりました。今後は、病院の上層部に栄養士をこれからの復興への協力に派遣してもらえるように強く働きかけたいと考えています。
     東北大室長と幾度か連絡を取ることができるようになり、その働きには頭が下がる思いがしました。厳しい体験の中でプロとして、非常時の対応食で患者の食を守り通し、余震に備え次の非常食を整えたその管理と行動にわたしのなすべきことも見えました。当院臨床栄養部の対策の甘さや不備が浮かび1ヶ月の間に多くの改善を提案してきました。今月内に病院職員に被災時の食事を意識してもらう時間をつくりたいと、4月28日は病院敷地にテントを張り、炊き出しを行なう予定です。その日の昼の患者給食はお握り、豚汁とトマトジュースです。患者分は厨房で調理し、階段を利用して病棟に運びます。スタッフ分は訓練として職員がテント張り、その下で炊き出しを行ない、おにぎりをつくることにしています。当日は募金箱を設置し、義援金は栄養士の被災地での活動に役立てていただくために栄養士会に送る予定です。
     病院栄養士として患者の食を守るために何をすべきか。地域において、広域圏内で、全国レベルで情報の共有と物資の管理をどのようにすべきか整理し、構築すべきと考えます。正直なところ、今でも涙はこぼれ、心はどんよりとしています。ただ、私たち栄養士はどの持ち場にあっても守るべき対象をもち、そして、その対象を守らなければならないのが栄養士です。被災地の栄養士たちが苦難のなかで体験し、発信されることを今後の礎として取り組まなければならないと考えます。日本の一人の栄養士として自分の持ち場で気持ちを強く、患者とスタッフの食を守るために提案し実践に向けていこうと思っています。立ち止まらないで、冷静に何をすべきかじっくりと考え、そして持ち場のなかでなすべきことを行動に移していきます。被災地への支援は、心に思うだけでは届かないので行動に移したいと思います。
     栄養士は互いに繋がっていると思います。辛い思いの者には、強く握り返す力も備えています。どうぞ、辛い気持ちを投げかけてください。復興へは一緒に歩みましょう。そして、この大災害の教訓を無駄にはしません。

    震災メッセージ・タイトル
       
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    ◆リンク
     
     
    ・日本赤十字社 「東北関東大震災」  

     http://www.jrc.or.jp/l2/Vcms2_00002082.html