ホームヘルパー通信より

介護職員基礎研修いよいよスタート!!
−資質向上が急務な今、人材教育事業にチャンス到来!−

2004年の秋、全国紙に「すべての介護職は介護福祉士に一本化」「介護職員基礎研修(以下、基礎研修)の導入」という記事が掲載されたのは記憶に新しい。この衝撃的な記事により、近い将来、ホームヘルパーは消滅してしまうのかという不安を抱いた事業所や有資格者も多いことだろう。こうしたなか、6月20日付で厚生労働省から各都道府県に対し、介護員養成研修の取扱細則についての通達が出された。いよいよ基礎研修が本格的にスタートすることとなったが、本紙では基礎研修の真の目的から、研修のあり方、成功への鍵を検証してみる。

今秋実施要綱の発表 07年1月研修スタート
 6月20日の厚労省の通達を受け、現在、各都道府県は基礎研修の実施要綱をまとめる作業に取り掛かっている。今年度中には、各都道府県とも養成事業所への通達、説明会を行いたいとしているが、各養成事業所は、それらを受け、講座カリキュラム、講師や会場、実習先の手配、更に受講生の募集など、講座開講に向けた具体的な作業に取りかかることになる。
 多くの都道府県が実施要綱のとりまとめに苦慮する中、10月初旬、神奈川県が先頭を切って実施要綱を発表した。早ければ来年1月から研修がスタートすることになろう。

基礎研修の真の目的は資質の向上にあり
 基礎研修の位置付けについては、非常に曖昧で、分かりにくいという声が数多く聞かれる。実際の就業における基礎研修修了者とヘルパー修了者との地位の違いや、介護報酬上の差が何ら規定されていない状況にあって、基礎研修事業を運営することに何のメリットがあるのかと問われることが少なくない。
 しかし、報酬上のメリットといった目先にとらわれていては継続的な事業運営の先行きは暗い。競争激化の中、“選ばれる事業者”になるには質の向上は必然。ソフト産業である介護事業においては人材教育以上に質の向上に資するものはない。
 そもそも介護職員の資質にばらつきがあり、玉石混交の状態にあることは幾度となく指摘されてきた。社会全体で高齢者を支えようとする介護保険の基礎理念に立ち返れば、介護職員の資質の向上は、国民全体の課題である。社会全体で介護の質を高める。そのためにサービス事業者や養成事業者が担う役割は大きい。

資質の向上はサービス事業者、養成事業者から
 措置の時代の言わば定食メニューのようなサービスから、利用者個別のオーダーメードなサービスを求められる現在において、多様な利用者に対し、それぞれ個別のサービスを提供するための対応力を如何に養うのか。これらはサービス事業者、養成事業者にとって日常的な課題であると言える。
 関西を中心にサービス事業、養成事業を幅広く展開する日本ロングライフ株式会社の施設やサービスは、一流ホテルと見紛うほどである。代表取締役社長の遠藤正一氏は、常に“ディズニーやリッツカールトンをライバル”とし、その独自の発想とアイデアにより介護サービスのレベルを超一流にまで高めようとしている。目指すものは、“究極の介護サービス”という。
 これらのことを考えると、基礎研修課程の中で資質向上の趣の強い2級ヘルパーの現任者への150時間、1級ヘルパーの現任者への60時間などの課程を中心とした養成事業が積極的に行われていくべきであろう。

全国民に 介護の知識、技術を
 一方、資質とあわせて大きな問題であるのが、人員不足の問題。厚労省は、すでに量的に充足されているという、実状とかけはなれた認識をしているが、その現状を身近にとらえているサービス事業者、養成事業者こそが、公に頼らず主体となって解決していくべきであろう。
 進展する高齢化にあたり、近い将来、日本人の介護職員だけでは到底対応しきれなくなる。外国人の受け入れも必要となろうが、何よりも国民の全てが介護の知識、技術を持ち、相互に支えていくことが必要となろう。そのためには、ヘルパー研修、基礎研修が、一般のサラリーマンや学生などに必修の国民的な研修となることも考えられる。
 日本の介護の現状を正しくとらえ、将来を見据えられるのは、民間サービス事業者や養成事業者である。国民が安心して超高齢社会を迎えられるように、介護の重要性を広く喚起しながら、国民のための介護サービスを創り上げていくべきである。


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