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「実るほど頭の下がる稲穂かな」 学識や徳行が深まると、その人柄や態度が謙虚になることにたとえた言葉ですが、みなさんは指導者になった今も、常にこのような謙虚な気持ちを持ち続けているのでしょうか。 私もそうでしたが、若いころは特に、他人のクセや欠点にばかり目がいきがちなものです。経験を重ねてきた今でも、まったく他人の欠点が気にならないわけではありませんが、 組織のトップに立つと若いころよりも肯定的にとらえられるようになってきたように思います。人の多様性を認めること、人の長所と短所を肯定的にとらえることは、指導者として必要な資格だと私は考えています。 指導者だからといってすべての分野で、部下より勝っているというわけではありません。 得意分野、不得意分野は誰もが持っているものです。部下のなかには自分よりも医療技術が上手な人、技能に優れた人など、挙げたらキリがないほどの、すごい能力の持ち主がいます。 私はそうした部下と出会ったときには、同じ次元で戦おうとせず、素直に認めるように心がけています。たとえばある技術がうまいスタッフがいたら、 「お前、すごいなあ。アレどないしてやってんねん?」とか「コツを教えてくれ」といった感じでアプローチしています。 先月のスキルで「小さいプライドは思い切り捨てよう」「相談する相手は自分よりできる人に」とお話ししましたが、それはそのまま指導者にも応用できるスキルなのです。 小さな自己防衛的なプライドがありすぎると、頑なになり、自分から素直に教えを受けることができなくなります。指導者のプライドも、ときには邪魔になる場合があるのです。 たとえば教室で研究するときに「こいつの力は絶対必要だな」と感じるときがあります。 向こうも雰囲気で、その気持ちを感じ取ります。 若いころは教授から仕事を任されたり、あてにされたりすると、うれしいのを通り越して生意気なところが出てくることもあるでしょう。 そういった部下に仕事を任せるという行為は、不安があるかもしれません。しかし、部下を信頼して忍耐強く見守るということも、ときには効果的な場合があります。 責任のある仕事を与えることによって、部下にもリーダーとしての苦労が他人事ではなくなるので、素直に共感できる気持ちが出てきます。 そして、リーダーとしてのマネジメントの大変さを認識したときに、指導者に対して尊敬の念を持って接してきてくれるようになります。 医療技術が優れているからといって、指導者になれるとは限りません。指導者になるためには、それなりの技術、経験にプラスして、その人の人柄やコミュニケーション能力、 そして部下にビジョンを示す力などが必要とされます。管理能力に長けた指導者になるためには、すべてのバランスがうまくとれていることが重要なのです。 指導者になると、無意識のうちに自分にとって都合のいい意見ばかりを取り入れたい気持ちや、部下の教えを受けるなんて、というプライドも出てくることでしょう。 しかし、指導者はチームのレベルアップの要となる必要があるのです。自己防衛的な小さなプライドは捨てて、部下や同僚たちから得た最新情報や成功事例を活用することが、重要なポイントになるのではないでしょうか。 部下に求める行動は自らが示す、というのは大切なことです。口だけでなく自分の身を持って行動で示してくれる指導者を、部下は好むものです。 「能力がある人を素直に認める」ことができる指導者を見ることで、部下も意識改革することができます。それがチームのレベルアップにつながるのです。小さなプライドを捨てて、大きなプライドを持てるように指導していくことが肝要です。 また、教える側も教わる側も、常に情報を得ようとする姿勢が必要です。個人の力などたかが知れています。それなのに指導者が「自分は何でも知っている」という姿勢を打ち出せば、部下は何も言えなくなります。 なぜなら、そんな態度を見せられることによって、この人から情報を得よう、この人の意見を吸収しようという気持ちが薄くなっていくからです。 指導者が「自分は完璧な人間ではないので、あなたの意見を聞きたいなあ」という姿勢を見せておくことで、相手も意見を出しやすくなります。 事実、若い人たちとディスカッションをしていると、素直に「すごいなあ」と感じることがあります。 自分が知らなかった、またあやふやだった情報や知識を彼らから取り込むことによって、思考の幅が広がり、自分の能力も高められていくものです。 自己防衛的でなく、尊厳としての「医師としてのプライド」「人としてのプライド」を常に高く保ち続けるためには、自分の周りの人から始まり、日本の、 また世界の時々刻々変化する情報を正しいアンテナを張り巡らせてキャッチすることが大切です。 | |
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▼ 「第1回 7つのお約束と10のスキル」 ▼ 「第2回 コーチングをマネジメントに活用しよう」 ▼ 「第3回 理想的な環境をつくる」 ▼ 「第4回 聞く? 聴く? 訊く?」 ▼ 「第5回 目標の明確化から達成感まで」 ▼ 「第6回 コミュニケーションは人間関係構築の柱」 ▼ 「第7回 良好なコミットメント」 ▼ 「第8回 「迷い」に対するアプローチ」 ▼ 「第9回 相手の共感を得る行動」 ▼ 「第10回 プライド -学生編-」 ▼ 「第11回 プライド -指導者編-」 ▼ 「第12回 他者満足」 ▼ 「第13回 展望」 |









