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インタビュー&リポート-第16回 ヘルスリサーチフォーラム
 

  研究発表が熱心に行われる

   11月7日(土)、都内で第16回ヘルスリサーチフォーラムが開催された。 主催は、財団法人ファイザーヘルスリサーチ振興財団(島谷克義氏・ファイザー株式会社顧問)。 同財団は平成4年に、「ヘルスリサーチに関する調査研究、研究助成、研究者の育成、国際交流等を行うことにより、 わが国におけるヘルスリサーチの振興を図るとともに、厚生科学研究の基盤確立に視し、もって国民の健康と福祉の向上に寄与することを目的」として設立された。 毎年、多くの助成や交流事業を実施し、助成研究の報告も行われる。 今回は、16件の研究発表があった。
  その中から、「就業構造基本調査を用いた介護労働者の就業行動」(演者:慶応義塾大学大学院商学研究科 特別研究講師・石井加代子)をリポートする。

  介護労働者の就業行動は、今後も調査が必要

  石井氏らの調査研究の目的は、介護労働者の高い離職率や低い賃金が大きな問題としてとらえられているにもかかわらず、 エビデンスが多くなく、「介護労働者の就業行動や賃金の状態を他産業で働く労働者のそれと比較することにより、 高い離職率や低い賃金は介護労働者特有のものであるのか」を明らかにすることであった。
  平成14年度『就業構造基本調査』(総務省統計局)を用いて、介護労働者の就業継続年数別の離職率、介護職離後の就業行動、 介護職離職後の賃金の変動などについて分析している。そこから見られたことは以下の通り(2002年時点の分析)。

1  介護職の離職率は、就業形態によって差があり、施設の正規の介護労働者については、離職率がさほど高くないこと、就業継続年数別の離職率は、 他産業の同就業形態の労働者と大差ないこと

  2001年時点の就業者について、その1年後の離職率をみると、正規職は、全産業(平均勤続年数14.7年)では16.0%であるのに対し、 施設介護労働者(同5.5年)では9.1%、訪問介護労働者(同5.5年)では10.5%となっている。 非正規職は、全産業(同14.7年)では28.6%、施設介護労働者(同2.4年)では19.8%、訪問介護労働者(同2.5年)では16.8%である。

2  介護労働者の就業動向について、他職種からの流入もしくは流出が多くみられること

  2002年時点55歳以下を見ると、現職が介護労働者である人の前職は、無職36%、介護12%、卸売・小売業18%、製造業16%、他職種53%。
  同様に、前職が介護労働者である人の現職は、無職40%、介護21%、卸売・小売業4%、製造業3%、他職種31%。 ちなみに、前職が介護労働者であった人の離職理由は、施設系では、女性の場合、結婚(22.6%)・育児(15.5%)が多く、労働条件の悪さ(9.8%)が続く。 男性の場合は、労働条件の悪さ(15.6%)がトップで、仕事が自分に向かない(11.0%)、収入の少なさ(9.4%)となっている。

3  他産業へ転職する場合の賃金面での影響は、施設の介護労働者の場合、転職によって賃金面でさほど不利を被らないこと

  こうしたことを踏まえて、石井氏は、介護労働者の就業行動について、代表性あるデータにより実態を明らかにするこが可能であるとした。 これまで、就業の移動に関する調査がなく、 就業者の流入・流出の実態を詳細に調べていくと、介護分野の労働者不足という課題への解決方策が見えてくるかもしれないと予感させた。
  また石井氏は、今調査はデータ自体が古いものであり、現在の状況とは乖離があるかもしれないとし、 介護労働者の離職率が注目され始めた2006年以降について、直近の『就業構造基本調査』も加え、時系列変化や他産業との比較により、 介護保険制度開始から現在までの介護労働市場の特徴を把握していく必要があるとまとめた。



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バックナンバー
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